御篠村(みしのむら)は、本県北部の山間に位置する人口約120名の小規模集落であり、 清冽な渓流と段々田に囲まれた自然環境に恵まれております。村の中心には明治初期に建立された御篠礼拝堂があり、鳥居と十字を併せ持つ独特の意匠は、 廃藩置県後の社会変化の中で形成された神道と西洋宗教の調和(御篠信仰)を象徴いたします。
御篠信仰は、古来の「天・地・人」の和と、キリスト教が重んじる「隣人愛」とを接ぎ木する形で受け継がれてきました。 祭壇には十字(西の光)と鏡(東の魂)を並べ、季節の祈りを通して 「生の営みを光へ返す」という観念を村の倫理として共有してきたことが、最大の特徴です。
生業は稲作と簡素な林産加工が中心で、合祀祭や春季の祈年行事は交流と相互扶助の機会でした。 人口減少の課題はあるものの、礼拝堂の保全調査、口承の記録化、若年層への伝達など、 伝統の維持・継承に向けた取り組みを継続しています。
※本村は小規模ゆえ華美を好みません。静謐の中に祈りを置くこと、訪れる方を分け隔てなく迎えることを、私たちの誇りとしています。